PMT 関数等の財務関連関数を使う前に、どのような仕組みで計算されているのかをまとめる。 本質を理解するためなので、税金、手数料等は考慮しない。
各単位期間に発生した利子を元金に組み込まない利子計算法である。 受取金額は
預入金額 + 預入金額 × 利率 × 預入期間
で求められる。
利率 1% で10万円を10年間単利で預けた場合の受取額は 110,000円となる。
各単位期間に発生した利子を次期元金に組み込んでいく。 たとえば、年利 1% で10万円を預金した場合、元金および利子は次のように変化する。 (1円未満は四捨五入してある。)
預入後の年数 | 元金 | 発生する利子 |
0 | 100,000 | 1,000 |
1 | 101,000 | 1,010 |
2 | 102,010 | 1,020 |
3 | 103,030 | 1,030 |
4 | 104,060 | 1,040 |
5 | 105,100 | 1,051 |
6 | 106,151 | 1,062 |
7 | 107,213 | 1,072 |
8 | 108,285 | 1,083 |
9 | 109,368 | 1,094 |
10 | 110,462 | ← 受取額 |
受取金額は
預入金額 × (1 + 利率)預入期間
で求められる。
上の表からもわかるように、利率 1% で10万円を10年間複利(年)で 預けた場合の受取額は 110,462円となる。
各期間に元金を積み増していく方式の預貯金である。利子計算方式に 複利を用いて、10年間、毎年10万円づつ積みましていった場合の元金、および利子は 次のように変化する。
経過年 | その年の元金 | 発生する利子 |
0 | 100,000 | 1,000 |
1 | 201,000 | 2,010 |
2 | 303,010 | 3,030 |
3 | 406,040 | 4,060 |
4 | 510,100 | 5,101 |
5 | 615,201 | 6,152 |
6 | 721,353 | 7,213 |
7 | 828,566 | 8,285 |
8 | 936,851 | 9,368 |
9 | 1,046,219 | 10,462 |
10 | 1,156,681 | ← 合計額 |
これを各期間に預け入れた預貯金ごとに注目すると、次のような表を得ることができる。
預入時期 | 預入額 | 預入期間 | 受取額 | 式による表記 |
0 | 100,000 | 10 | 110,462 | 100000*(1.01)10 |
1 | 100,000 | 9 | 109,368 | 100000*(1.01)9 |
2 | 100,000 | 8 | 108,285 | 100000*(1.01)8 |
3 | 100,000 | 7 | 107,213 | 100000*(1.01)7 |
4 | 100,000 | 6 | 106,152 | 100000*(1.01)6 |
5 | 100,000 | 5 | 105,101 | 100000*(1.01)5 |
6 | 100,000 | 4 | 104,060 | 100000*(1.01)4 |
7 | 100,000 | 3 | 103,030 | 100000*(1.01)3 |
8 | 100,000 | 2 | 102,010 | 100000*(1.01)2 |
9 | 100,000 | 1 | 101,000 | 100000*(1.01)1 |
10 | 100,000 | 0 | 100,000 | 100000*(1.01)0 |
合計 | 1,156,681 | Σ10n=0100,000*(1.01)n |
したがって、各期間に一定額積み立てた場合の受取り額は(等比級数の和の公式を用いて)
最終年も積み立てた場合は、
積立額×{(1+利率)(期間+1) - 1}/利率
最終年に積み立てを行わない場合は、
積立額×(1+利率)×{(1+利率)期間 - 1}/利率
で求められる。
エクセルを用いて計算する場合は FV
(Future Value) 関数を利用する。
第5引数の支払期日は各期間のどの時点で支払いを行うかを指定する flag である。
支払期日の指定と、期間を適切に組み合わせることが必要である。
資金を借り入れた場合の返済方法には「元金均等返済」と「元利均等返済」の2種類がある。
元金均等返済 | 元利均等返済 |
返済額のうち、元金の返済に当てる額が一定 | 返済額の金額が一定 |
全体の返済額は少ない | 期間を通して一定の金額を返済する |
初期の返済額が多い | 全体の返済額は元金均等方式よりも多い |
一般的には元利均等返済方式が用いられている。元利均等返済方式の返済額は すでに述べた「複利積立て」の方式を用いれば、求めることができる。
借り入れ金額をk
とする。借り入れ金額に対しては複利預金と同じ式を用いる。
したがって n
年後の借入金額は、次のようになる。
借入金額 × (1 + 利率)n
…(1)
一方、返済額を x
と置き、複利積立を同一利率を用いて行うと、
n
年後の総額は次のようになる。(借入開始時に返済を開始した場合 = 支払期日が期首の場合)
x×{(1+利率)(n+1) - 1}/利率
…(2)
n
年後の借り入れ金額は、(1), (2) 式の差で求められる。
n
年後に返済が終了したとすると、返済額 x
は、次式で求められる。
一方、返済開始が単位期間後(期末の場合)は、
となる。
エクセルを用いて計算する場合は PMT
(PayMenT) 関数が利用できるが、
現在価値に借入額、将来価値に 0 を設定すると正しい答えが得られるが、場合によっては
正しくない答えが得られるので注意すること。
日本の法律では「定額法」および「定率法」しか認められていないが、 エクセルでは減価償却を求めるための関数として MORDEGRC、AMORLINC、DB、DDB、SLN、SYD、VDB が存在する。適切な 関数を選ぶことも大切であるが、さらに引数が正しい範囲にあるかどうかを IF 関数等を用いてチェックすることも必要である。
取得費を x、残存価格を y、耐用年数を t (いずれも正の数値)とすると、定率法の償却率は
(y/x)1/t
で、求められ、定額法の償却額は
(x-y)/t
で求められる。いずれも、耐用年数を分母とするような式で構成されているが 耐用年数を 0 とした場合でも定率法の場合エラーにならない。 また耐用年数等に誤った指定を行っても警告されない場合があるので注意。
間違いだらけの Excel 関数ヘルプ等も 参照のこと。